※個人の主観が多分に含まれた感想記事ですので、鵜呑みにしないように気をつけてください。
皆さんはテトリスと聞いたら何を思い浮かべますか?
大抵の場合は、「上からブロックが降ってくる」「綺麗に並べる」「一列揃えて消していく」とかが真っ先に思い浮かぶことでしょう。
テトリスプラスを遊んだ人は次のようなことが思い浮かぶようになります。
「オッサンが余計なことをして負けるゲーム」と。
概要(PS版)
テトリスプラスは、ジャレコから発売されたアーケードゲームです。
後に、セガサターン、プレイステーション、ゲームボーイに移植されました。
「プラス」の名の通り、このゲームの目玉要素は独自要素が詰め込まれた「パズルモード」にあります。
誕生した時点でシステムが完成しきっている感のあるテトリスというゲームに「プラス」とかつけちゃうあたりがなんか傲慢さというか可愛いところがありますね。
ゲームモードはクラシックな「ノーマルモード」、そして独自の「パズルモード」の2つ。
ここではプレイステーション版を基本として、順番に見ていきます。
ノーマルモード
レベル制のエンドレスモード。
テトリスプラスならではの特徴として、盤面の横にゲージがあり、このゲージがマックスになると1段階レベルが上がるというもの。
ゲージはライン消去で上昇するほか、時間経過によっても増加するため、何もしなくてもレベルは上がっていく。
落下速度の変化はレベルに比例するものではなく、速くなったり遅くなったりと緩急がつくが、遅くともレベル25以降は速度の変化がなくなる。
さらに、速度変化がなくなってからは設置の猶予時間(テトラミノが地面にくっついていても操作できる時間)が短くなっていき、レベル30で最短になる。したがって、後半になるにつれて素早く正確な操作が求められる。
ここまで聞くとまあまあ普通のエンドレス制テトリスだな、と思うのだが…
問題点
高速域では致命的なほど遅い操作性
一番の問題。
テトリスプラスはオプションで難易度をEASY・NORMAL・HARD・VERY HARDの4種類を選択でき、この難易度によってノーマルモードの最終的な落下速度が決まる。
…のだが、このうちNORMAL以上は落下速度が1G(1フレームにつき1マス落下)でかなり速い。
さらに、前述の通りレベル30になるまでは設置の猶予時間が短くなるのだが、これも難易度によって変化する。VERY HARDでは即接地レベルで短くなり、ほぼ無理ゲーと化す。
これに対して、横移動の速さは…
DAS(Delayed Auto Shift:左右ボタンを押し続けて、横移動の繰り返しが始まる時間)=15フレーム
ARR(Auto Repeat Rate:横移動の繰り返しの速さ)=5フレーム
はっきり言って遅すぎる。追いつくわけがない。
テトリスの盤面の高さは20マスなので、落下速度が1Gのときは、どれだけ最速で横入力したとしても、一番下に落下したときに辛うじて画面端に移動できているかどうかぐらい。
ブロックが積み重なっていくと移動操作自体がシビアになるので、最終的には可能な限り地形を低く保って、シングル・ダブル消しを繰り返すというものになりがち。
以上のことから、テトリスプラスのノーマルモードは難易度NORMALは辛うじて遊べるギリギリのライン、HARDはまともに遊べるのかが怪しく、VERY HARDは難しいを通り越して理不尽なレベル。
EASYにすると程良く遊びやすい難易度になるので、普通に遊ぶならこれ以外の選択肢はない。
BGMが1つだけ
ノーマルモードはBGMが1曲で固定、レベルに応じてテンポが速くなったり遅くなったりするだけなのも地味ながら微妙なところ。まあそれを言ったらセガのアーケード版テトリスもそうなのだが。
評価点
回転法則
横移動に関してはストレスマッハなのに対して、回転法則はセガ則なので、高速域での回転操作は意外と快適。セガ系テトリスに慣れていればほとんど問題なく遊べるものになっている。
ビジュアル
普通にドット絵が綺麗なので悪くない。元がアーケードゲームだからだろうか。
というか同時期にリリースされたPS1の「テトリスX」が微妙なビジュアルなので、それと比較すると普通に良く見える。
総評
テトリスプラスのノーマルモードは微妙。普通のテトリスがしたいなら他のを選んだほうが良いかもしれない。
ただ、PS1で遊べる貴重なセガ則のテトリスなので、その点で需要があるのかも。
もっとも、言ってしまえばこのモードはパズルモードのおまけみたいなもんなので割とどうでも良かったりする。
パズルモード(本題)
このゲームの最大の目玉要素。
特徴
ストーリーは「教授と助手子が各地の遺跡を荒らし(もとい、遺跡調査)に行く」というもの。
そんな教授をサポートしてどうにかして下へと導いていくゲームです。
したがってルールも普通のテトリスとは全く異なるものになっています。
ゲームのルール
テトリスの盤面に教授がいて、これが勝手に移動する。
上からトゲ付きの天井が時間経過で下がり、教授がこのトゲ付き天井にぶつかってしまった場合、ゲームオーバー。
教授が盤面の一番下まで移動すればクリア。
テトラミノがトゲ付き天井より高く積み上がるとき、その部分は破壊される。
したがって、ブロックが一番上まで積み上がってもゲームオーバーにならない。
これを利用して、「トゲ天井にいらないテトラミノを破壊してもらい、欲しいミノが来るまで待つ」という戦術を取ることも出来ます。
トゲ付き天井は、3段消し・4段消しをすることで上に戻すことができるので、狙える時は狙っていきたいところ。
「教授」について
教授はプレイヤーの意思に関わらず勝手に移動するので、如何にこの教授をうまくコントロールするかがこのゲームの攻略のカギとなります。
教授は壁にぶつかるまで自分の向いている方向に移動し続け、ぶつかった場合は反転して移動し始めます。
壁がなく、下に空間がある場合は落下します。
また、教授に重ねるようにテトラミノを設置すると、教授がそのテトラミノの上に登り始めます。
これがパズルモードで難しい要素の1つで、下手に設置すると危険な状況になる場合もあるため、気をつけなければいけません。
逆に、これをうまく使うことで攻略できるステージもあります。
教授の大きさは2マス×2マス(=Oミノと同等)なので、それ以上の広さの空間を作っておくことで教授の動きを制限することができます。
動きを制限しておけば、教授が勝手に登るリスクを減らすことが出来るので、場面によってはかなり大事になってきます。
つまり、パズルモードを攻略する上で重要なことは、
「教授の動きを制限すること」と「教授を適切なタイミングで登らせる(不用意に登らせない)こと」の2つになります。
評価点
通常のテトリスとは異なる方向性
「ブロックを積んで消していく」だけではなく、「盤面内のキャラクターをうまく制御する」という要素を盛り込んで、それがゲームとしてきちんと成立している。
慣れないうちは文字通り「オッサンが余計なことをして負ける」のだが、ゲームシステムを理解していくと、だんだん教授を上手くコントロール出来るようになるところが面白い。
レベルデザイン
5つのエリアがあり、各エリア20ステージ。合計100ステージで十分なボリューム。
難易度曲線が適切で、ステージが進むごとにだんだんと難しくなっていくものになっている。
最終エリアは「パズルモード」の名の通り考えさせられるステージがいくつかあり、手応えのある難易度になっている。
また、解法が1つだけではないというのも良いところ。
「ライン消去で地道に教授を下ろす」だけではなく、「教授をうまく運んで下まで落とす」方法も存在するため、普通のテトリスとは違ったプレイ感覚を楽しむことができる。
セーブ機能
今でこそ当たり前のようではあるが、メモリーカードがあれば進めたところでセーブ出来るので、ゲームの中断が容易。
問題点
難易度がやや高め
「テトラミノを操作して設置する」というテトリスの基本的な部分に加えて、「教授をコントロールする」という要素が加わり、これらを同時に考えなければならないため、ある程度テトリスに慣れているプレイヤーでないと厳しいところがある。
また、ステージによっては速くクリアするために回転入れが要求される場面もあり、セガ系の回転法則に慣れていないと難しく感じる部分がある。
さらに、前述の通りオプションでEASY~VERY HARDの4つの難易度を選択できるが、パズルモードではこの難易度が「トゲ天井の降下速度」に影響し、EASYでも遅くはない速さなので普通に難しい。VERY HARDでは相当忙しくなる。元がアーケードゲームだからなのか?
操作性の悪さ
ノーマルモードの項で察した方もいるかもしれないが、パズルモードでもあまり操作性が良いとは言えない。
もっとも、こちらは「テトラミノの落下速度」自体は変わらないので、ノーマルモードほど問題にはならないのだが。
(BGMをアーケード版に設定している場合に限り)曲数が少ない
アーケード版BGMはプレイ中の曲は前半10ステージ+後半10ステージの2曲しかない。
特に理由がなければコンシューマー版BGMのままで良し。
総評
独自ルールによって新鮮な感覚で楽しめるテトリスである。
ボリュームも十分にあり、一筋縄ではいかない難易度に仕上がっているため、このパズルモードだけでも長く遊べるようになっている。
一風変わったテトリスを楽しみたい、という方におすすめ。
そして「オッサンが余計なことをして負ける」感覚を楽しもう。
VSモード
対戦モードがある。が、リアルのお友達が必須なので割愛。
概要(GB版)
移植作品としては後発で、セガサターン版やプレイステーション版がある程度アーケード版に沿って作られているのに対して、こちらはそもそもハードのスペックの差などもあり、いくつか簡略化されている部分がある。
ただ、基本的にゲーム内容は同一。
PS版との相違点
変更点・改善点
・ノーマルモードがほとんど別ゲーになっている(後述)
・パズルモードはオートセーブになり、セーブのための操作が不要になった。
・パズルモードの一部ステージがPS版から変更。
・スーパーゲームボーイ対応で、モードによって色が変化する。独自の外枠もある。
改悪点
・パズルモードのエリア開始時、終了時のデモが大幅に簡略化。
→容量の関係上仕方なかったのかもしれない。
・パズルモードのテンポがやや悪化。
→あくまでPS版と比較した場合。特に問題はなし。
GB版ノーマルモードについて
PS版ノーマルモードは操作性の悪さでかなり遊びづらい出来だったが、GB版では劇的に改善されている。
変更点
横タメ移動の高速化
一番の改善点。これにより快適に操作出来るようになった。
レベルセレクトの追加
0、4、8、12、16、20の6つの段階で選択できるようになった。
レベル上昇スピードの低下
PS版では1回4列消しするだけでレベルが1つ上がるほどゲージが貯まったが、GB版ではなかなかレベルが上がらない。これにより、レベルカンストまでが長くなった。
盤面の縮小
ゲームボーイの画面解像度の関係で、盤面の高さが17ライン(ミノの出現位置を考慮すると実質16ライン)になっている。
難易度の易化
他のテトリスと比較して、最高レベルになっても速度がやや遅めになっている。携帯機ということを考慮したからだろうか。
このため、気軽に遊べるようになっている。
画面の乱れ
処理の問題なのか、一瞬オブジェクトが乱れることがある。ちょっと気になるかも?
総評
携帯機向けのテトリスとして遊びやすく良好な出来になった。
ただ、曲が1つしかないのは相変わらずなので、そこだけが難点か。
ゲームボーイという制約の多いハードでありながら、PS版とほぼ遜色ない出来になっており、おすすめできる一品。