ワールドルールの源流を辿ってみたら惨憺たる光景だった【GBA:テトリスワールドの感想】

※この記事の大半は筆者の感想であり、世間一般の絶対的な評価ではありません。ご了承ください。

 

ワールドルール。

この言葉を聞いてピンときたら貴方は立派なテトリストです。

テトリスにおけるワールドルールとは、読んで字の如く「世界標準のルール・仕様」という意味です。

ワールドルール制定以後、2024年現在の最新のテトリス、「テトリス99」や「テトリスエフェクト」も基本的にこの仕様に沿って作られており、ワールドルールを採用したテトリスなら同じテクニックが通用します。

そんな世界標準のルール、最初に採用されたゲームはなんとゲームボーイアドバンスのソフトだったのです。

 

それがテトリスワールド。

クソでした。

概要

テトリスワールドは、日本では2002年に発売されたゲームボーイアドバンス用のパズルゲーム。前述の通りワールドルールが初めて採用されたゲームで、後年発売されたテトリスでも改良が重ねられつつ採用され続けています。

このゲームの感想を詳しく述べるにあたっては、ワールドルールの功罪についても触れていかなければならないのですが、それ以上にゲームとしての出来がお粗末なものだったので、このゲーム自体の問題点を中心に触れていきます。

 

 

とりあえずプレイしてみる

ゲームを起動して早速聞こえてくるBGMは、デンデケデンデケデンデケデンデケデンデケデンデンデンデンデン(BPM180)(音痴)とおなじみのコロブチカ。

まあとりあえず普通のテトリスやってみるか……なんだコイツ!?

謎の変なブロックみたいな生き物が背景で飛び回っています。こわ

そしてなんやかんやでレベル15をクリアすると

ありがとう

 

 

問題点

ゲーム性を破壊した独創的なルール「インフィニティ」

ワールドルールの仕様の1つに「インフィニティ」というものがあります。

これは「テトロミノ(操作しているブロック)の移動・回転操作を行った時、設置猶予時間がリセットされる」というものです。

従来のテトリスでは、そもそも設置猶予時間がないか、1段でも落下した場合に限り設置猶予時間がリセットされる、という仕様が多く、それがゲーム性に繋がっていた部分がありました。

ところがこのインフィニティというルールによって、任意にゲームを止めることが出来るようになり、リスクが大幅に減少しました。

まあ、これだけなら別に大したことはないんですが…

回転ボタンがソフト連射(なんで?)

なんで?

これとインフィニティのおかげでボタン押しっぱにするだけでゲームを止めることが出来ます。やったね!

あと何気に連射間隔が短くて普通にやってても誤爆して余計に回るのがクソ。

操作のレスポンスが悪い

入力遅延があるというか、ボタンを押してからすぐに反応しないんですよね。ゲーム全体が妙に重たい。クソゲーあるあるですね。

例えばハードドロップ。上に入力すると即座に設置することが出来る操作なんですけど、これをやろうとすると一瞬ゲームが固まる。どんだけ重いんだ。

一方、隠しモードの「クラシック」は妙に操作しやすい(微々たる差だが)。あとクラシックモードに限ってハードドロップでゲームが固まらない。軽いんですよね。

こんな感じです。お分かりいただけますか?

変な生物がいません。

「クラシック」に限って背景が静止画なんですよね。

操作性を犠牲にしてまで背景演出に力を入れているってことになるんですかね。

Tスピンボーナスが分かりづらい

一応Tスピンを決めるとボーナスがもらえる。ワールドルールの初期の初期からちゃんとあるんですね。

だけど、演出が地味すぎて本当にボーナスをもらえたのかわかりづらい。そんな適当でいいのか。

接地中にハードドロップできない(なんで?)

なんで?

効果音がいちいち変なのばっかり

例えばハードドロップはプェッとかいう気の抜けた音

レベルアップした時にはバイ~~~~ンとかいう変なドラの音

なにこれ

クリアした時の演出が地味

花火も、キャラが踊ってくれるわけでも、ファンファーレすらなく、

「おめでとう!君はテトリスマスターとして、レベル◯◯になった。」

で、終わり。

悲しい。

スコアがない(なんで?)

なんで?

バッテリーバックアップがない(なんで?)

なんで?(スコアがないから要らないと言えば要らない…?)

ブロックみたいなキャラが不気味で気持ち悪い

見たまんま。ホラゲーかな。

 

 

評価点

とは言えど、腐ってもテトリス。ちゃんと良いところもあります。

テトリスである

上記について気にしなければまあまあ普通のテトリスです。

ゲームモードが豊富

通常のテトリスと、変則ルールであるスティッキー・フュージョン・ホットライン・スクウェア・カスケードの5つがあるので、わりと色々遊べます。

隠しモードではありますがクラシックモードもあり、これは操作性も悪くはないので普通に遊べる。

BGM

意外とBGMは過去作から持ってきているものも多く、ツボを押さえています。

NESテトリスのA-TYPEと同じ曲とか、NESテトリス・GBテトリスのB-TYPEみたいな曲とか(メロディにアレンジがなされている)、コロブチカとか、曲自体のクオリティはそこまで低くはないと思います。たぶん

ワールドルールの始祖

この作品がなければ今のテトリスはなかった可能性があります。というのも、このゲームで実装された数々のルールが、今も脈々と受け継がれているからですね。

ホールド、スーパーローテーションシステム(SRS)、Tスピンなどの回転入れのテクニックだったり…

これらのルールはテトリスというゲームの間口を広げるとともに、テトリスの新たな方向性を打ち出したものでもあります。

その意味で、このゲームの存在は大きいと言えるでしょう。

このゲームに限って言えば負の側面のほうが強すぎる気がしないこともない。

 

 

総評

ワールドルールの始祖ということでどんなものなのか蓋を開けてみれば、そもそもゲームとしての完成度が低く、長く遊んでいくにはちょっと無理があるし、正直思っていたよりもひどかったです。事前情報からひどいとは聞いていましたが、ここまで出来が悪いとは予想してなかった。

そして、テトリスカンパニーによる「テトリスは1プラットフォームにつき1商品まで*1」という縛りが原因なのかは不明ですが、これがゲームボーイアドバンスで遊べる唯一無二のテトリスとなってしまった…。

(追記:テトリスアドバンスがあったので唯一無二じゃありませんでした。適当に調べてました。ゆるして)

 

テトリスカンパニーの罪は重い。

ここから現在までテトリスブランドが続いたこと自体が奇跡なんじゃないかとすら思えますね。

 

GBA版とは開発が別で、ゲームキューブ版やxbox版(に加えて海外のみPS2版)があるみたいです。そちらの出来に期待することにしましょう。

 

余談

ワールドルールの1つ、「インフィニティ」はテトリスDSテトリスコレクションあたりまで実装されているのは確認しましたが、今現在は廃止されています。近年のテトリスは対戦が主流なのもありますが、当然ですね。

あと、回転にソフト連射が実装されているのは後にも先にも恐らくこのゲームだけ。当然ですね。

 

*1:一方、PS1では複数会社から複数商品テトリスが発売されていた(マジカルテトリスチャレンジ、ザ・ネクステトリスデラックス、SuperLite1500 ザ・テトリスなど)